【クルト】「ねぇ、花なんて食べておいしいの?」
ぼうっと花をくわえてたお兄さんをひょこって覗き込んだら、唇からぽろっと白い花が落っこちた。
あ、驚かしちゃったかな?
って思ったけど、お花を拾ってから振り返ったお兄さんはいつもと同じ顔をしてた。
【ユーリウス】「あぁ。あなたは……」
【クルト】「ねぇ、その花、おいしいの?」
ワクワク。
【ユーリウス】「食べるのではなくて蜜だけを」
【クルト】「ふ〜ん。じゃ、いっただきま〜す」
パクッ!
【ユーリウス】「あっ、それは……」
いきなりだったからびっくりしたのかな。
花を持ってるお兄さんの指がピクッて震えた。
一緒に髪が揺れて、ほんのり花の匂いがする。
僕が蝶だったら絶対引き寄せられてる甘い匂いは、この花の匂いかな?
【クルト】「甘〜い」
【ユーリウス】「新しい花の方がもっと甘いと思いますよ」
【クルト】「あ、そっか。じゃ、そっちもいただきま〜す」
パクッ。
やっぱりちょっとだけお兄さんの指が震える。
お兄さんの指って、女の人の指みたいにきれいで、なんだかそっちも食べたくなっちゃうよ。
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