【ナセールディン】「刺青は無理でも、ちょっと気分だけ味わってみるか? 筆で書くだけの顔料がある」
【クルト】「うん! それならやる!」
【ナセールディン】「そうか。なら、俺がクルトを最高傑作に仕立て上げてやろう。服を脱いで、こっちに来い」
って言われて、僕はすっかりナセルの思うまま。
確か、こういうのを、まな板の上の鯉、って言うんだよね……。
【ナセールディン】「ほら、クルト、動くな。手が震えて、うまくかけないだろうが」
ナセルはからかうように言ってくるけど、動くななんて絶対無理。
【クルト】「じっとしてるなんて無理だよ〜」
柔らかい筆はくすぐったいし、絵の具みたいなのはちょっと冷たいし。
【ナセールディン】「どうして? 痛くないだろう?」
うわっ。ナセル、耳元でささやかないでよ。
【クルト】「だって、くすぐったいよ」
筆もくすぐったいけど、ナセルの息が耳にかかるのもくすぐったくて、なんだかゾクゾクしちゃう。
【ナセールディン】「くすぐったい? 本当にそれだけかい?」
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