【クルト】
「ねぇ、お兄さん」
【ユーリウス】
「はい?」
声をかけたら、お兄さんは本から顔を上げて、僕の手の中の花冠を見る。
【クルト】
「どう?」
【ユーリウス】
「きれいですね」
ほんの一瞬だけの笑顔。
一瞬だけだから、余計にうれしく思うんだろうなって思うけど。
【クルト】
「ね、こっち向いて」
やっぱりたくさん笑って欲しいから、予定どおりにプレゼント。
【ユーリウス】
「はい」
【クルト】
「きっと似合うと思うんだ」
【ユーリウス】
「えっ…? 私に……?」
【クルト】
「そうだよ。こういうのは誰かにあげるために作るんだから」
【ユーリウス】
「ですが……」
【クルト】
「ほら。すごい似合ってるよ。ね、キャンディ」
って、唯一の観客に声をかけたのに、薄情なキャンディは、昼寝の真っ最中。
【ユーリウス】
「あの…私には花なんて……」
キャンディの返事がなかったせいじゃないと思うけど、お兄さんたら頬を染めて照れてる。
|