【クルト】「いたたた…………」
力任せにひっぱったから、裾がほつれて破れちゃって……勢いあまって転んじゃったよ〜っ。
【フィフィ】「わーっ! ごめんね、クルトさんっ! どうしよう、怪我はない?!」
【クルト】「うん、全然平気だよ……って、あーーっ! この服はステランに怒られちゃうかも……」
【フィフィ】「大変!? 手のひらも擦りむいてるよ」
【クルト】「えっ? わわっ、ほんとだちょっと血が出てる! でも、これぐらい……」
【フィフィ】「駄目だよっ、傷口はちゃんと治療しないと、よ〜し、ボクに任せて〜」
【クルト】「えっ?」
転んだままの僕の前に、フィフィがすっと立った。
すっと目を閉じて、息を整えている。
……何をするんだろう?
【フィフィ】「―――――妖精さん、妖精さん、いたずらっこの妖精さん。ちょっとお手伝いして下さい〜」
えっ?
妖精さんって……?
【クルト】「わあっ!?」
ぽうっとフィフィの周りの空気が色づく。
も、もしかしてこれが魔法――――?
【フィフィ】「――――ボクの大事なクルトさんが怪我をしちゃったんだ。ちょこっと治してくれるかな?」
途端に僕の手のひらに光がさしてくる。
【クルト】「えっ!? わっ!」
温かい……。
そこだけお湯に浸かっているみたいに傷口が気持ちいい。
これって、フィフィが魔法で治してくれてるのかな?
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