【クルト】「そう言えば、カッツェさんっていつもマスクしてるよね? どうして?」
うん。これ、前から気になってたんだよね。
【カッツェ】「これは、ま、いろいろあってな」
【クルト】「絶対取っちゃ駄目なの?」
それって、わけありっぽくてかっこいいよね〜。
【カッツェ】「そうだな。絶対というわけじゃないが、まず人前では取らない」
【クルト】「なんで? そういう誓いでも立てたの?」
物語の中の戦士とかって、よくそういう誓い立ててるもんね。
【カッツェ】「いや。だが、取らないと決めている」
【クルト】「あ〜あ。残念。マスクを取ったところ、見てみたかったのに」
なんだぁ。誓いじゃないのかぁ……。
しかも、はずすのも駄目なんだぁ……。
【カッツェ】「なんだ。そんなに見たかったのか?」
呆れたって顔して、カッツェさんが僕を見てる。
だから、僕、ここぞとばかりおねだり全開で見つめてみた。
【クルト】「うん。見たい☆」
【カッツェ】「そうか。仕方ないな」
【クルト】「えっ? 見せてくれるの?」
わ〜い。カッツェさんにも効いちゃった。
【カッツェ】「あぁ。特別だ」
そう言って、カッツェさんがマスクを下ろすのをワクワクして見つめてたら……。
【クルト】「えっ……?」
不意にカッツェさんの顔がアップになって……。
【カッツェ】「これが俺の素顔だ」
妙に低くてかっこいい声で言われて……。
【クルト】「んっ……」
キスされてた。
額とか、頬とか、鼻の頭とか、そんなん所じゃなくて唇に。
ほんのちょっと触れるだけのキスだったけど、確かに、僕はカッツェさんにキスされてた。
なんで? どうして?
いきなりだったから、胸がドキドキしてて、うまく考えがまとまらない。
でも、そんなふうにアタフタしてる間に、キスは終わってた。
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